アフリカはウガンダの夜。1人。なんだかふと音楽を聴きたくなってApple Musicを開く。いくつか音楽を流してみる。あぁ、心がドキドキ、ワクワクする。平穏で落ち着いていた心に少し鼓動が走る。乾き切っていた大地に一滴の雫が落ちて大地全体に広がっていくように、心に沁み渡る。音楽って素晴らしい。
あ、あの曲を聴こう。新卒時代。個人的に苦しい時期を過ごしていた時によく聴いた曲。サンボマスター「できっこないをやらなくちゃ」。懐かしい。通勤時に毎朝聴いていた。フラフラの毎日の中で、それでも絶対に負けないと自分に言い聞かせてた。
次は、ちょっと懐かしい曲を聴こう。いきものがかりもいいなあ。あ、GReeeeNを聴こう。「ソラシド」。当時は全然歌詞はあまり気にしてなかった。今、アフリカで1人で聴くと、また違う曲に聞こえる。歌詞がとっても素敵で涙が出てくる。「歩み」もいい。勇気が、元気が湧いてくる。そうだそうだ自分はやれるぞ、と思える。音楽って素敵だ。
「扉」。これは実は少し特別な曲。高校時代のある思い出が鮮明に残っている。当時、勉強に人生の全てを捧げていたとも言える高校生活。少し変かもしれないが、友人たちと共に勉強に必死に向き合い続けるその日々が、僕の青春だった。そんな中で、僕からみたらまるで天才なある友人がいた。彼は友人間の中でもとりわけ勉強が得意で、天才肌。正直、あまり苦労して勉強している様子はなかった。必死に死に物狂いで食らいついている僕は、いつも羨望の眼差しを向けていた。そんな彼と、試験明けか何かの気分転換でカラオケに行った時。照れ屋でなかなか歌を歌わない彼が、ふとある曲を歌った。それがGReeeeN「扉」。もしかしたら一番好きな曲だったから、一番歌いやすい曲だったから歌ったのかもしれない。でも当時の僕は、彼が歌うこの曲を聴いてとても心がドキドキした記憶がある。燻ったり、悩んだりする現状と、それでも未来に対する意思と応援を歌うこの曲。普段ケロッとしている彼が、僕からみたら完璧で羨ましい彼が、いやそんな彼も、悩んだり、もがいたりしながら必死に生きているんだなと思った。そんなことに気づいて、心に鼓動が走った。すごくふとした瞬間の何気ない事だったけど、今でもすごく鮮明に覚えている。
今、その曲をアフリカで1人で聴いて、自分と当時の彼を、当時の自分を重ねる。ああ、あの時の彼も、僕も、みんな悩んで、もがいて、それでも必死に生きていたな。あ、今の自分も、あの時の僕らと同じように悩んで、もがいて、それでも必死に生きているな。ああ、そうか。僕は今、あの時と同じように、青春しているんだ。生きるって、青春なんだ。