一期一会
旅をしていると、「人生は一期一会だな」とつくづく思う。正確には今の僕は旅をしているわけではないのだけど、旅っぽく拠点を移しながら生活をしていると、やはりこの一期一会をとても身近に感じる。自分が長く滞在している宿に色々な人が入れ替わりで入ってきたり、たまたま入ったレストランで誰かと出会ったり。そんな人たちと、数日間だけ一緒に過ごして、同じ経験をして、数日後には、それぞれ進むべき方向に向かうために、お別れする。何かの奇跡的な確率の掛け合わせで、たまたま同じ時に、同じ場所で、わずかながらも同じ時間を過ごすという奇跡。これまでのそれぞれの人生の何か一部がほんの少しだけでも異なっていたら、交差することはなかったはずの糸と糸。それらが、たまたま折り重なって、またすぐに離れていく。そんな一期一会の結び目をたくさんつくることができるのが旅の美しさ。よく、世界には約80億人の人がいるから、1秒に1人と出会っても、人生でその半分の人に出会うこともできない、といわれる。そんな中で、奇跡的な偶然の巡り合わせで、わずかながらも誰かと一緒の時間を過ごすことができるという幸せを噛み締め、心の底から感謝する。「またどこかで」と言って別れたあの人とは、この先もう二度と出会うことはないかもしれない。それでも、同じ時間を過ごした、出会えた奇跡がありがたい。人生は一期一会。だからこそ美しい。
生きているということ
不可思議/woderboyの「生きる」というラップが好き。(最後にPVと歌詞を載せておく。)詩人である谷川俊太郎氏の「生きる」 という詩をラップにして歌うこの曲。その素晴らしさは僕が言語化できるようなものではないが、とにかく美しく、心に響く。ぜひ聴いてほしい。この曲が大好きで以前からよく聴いては、自分が生きていることの喜びと、この世界の美しさ、自分がいかに幸せであるか、人生がいかに美しいのか、深く感じる。アフリカに来てもそれは変わらない。お昼ご飯がとても美味しいこと。太陽が照り、温もりとエネルギーを感じること。洗濯物が乾き、またお気に入りの洋服が着れること。笑顔で挨拶する誰かがいること。小鳥の囀りや、子供の笑い声が聞こえること。目の前の手すりを歩く虫や、道端や空き地で草を食べる羊がいること。眠りにつく場所があり、また朝が来ること。当たり前では決してないはずの、平和で穏やかで美しい毎日が、当たり前のように送れていること。きっと明日も今日と同じような日がやってくるだろうと、疑わないほど平和であること。生活の、人生の一つ一つに生きるを感じる。世界のどこにいても、生きることの喜びを、美しさを大事に噛み締めていきたい。
生きているということ
生きているということ
生きて生きて生きて生きて生きているということ
のどがかわき
木漏れ日がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
生きているということ
生きているということ
鳥がはばたき
海がとどろき
かたつむりははうということ
あなたと手をつなぐこと
ことごとく今回も言葉だけじゃ足りない
ありもしない風景を思い描いては
迷うということ
悩むということ
生きることに対して問うということ
生きているということ
それはミニスカート
プラネタリウム
ヨハン・シュトラウス
ピカソ
全ての美しいものに出会うということ
眠るということ
目覚ましよりも先に目を覚ました瞼
窓枠いっぱいに空の青が広がり
溢れ出す光
溶けるような陽だまり
顔を洗う水道の水がひんやりと冷たい
経度から経度へ朝をリレーしていく
知らぬ国の誰かから渡されたバトンを
しっかりと受け取りまた知らぬ国の誰かへ
毎日朝が来るというありふれた奇跡
花先から一滴落ちた雫が
水たまりの中の青空を揺らした
十日ぶりの快晴にも歓声は上がらない
僕なんてもう踊り出したいくらいなのに
読みかけの小説
古ぼけた腕時計
余計な荷物は何一つ持たずに
洗濯物を干したら出かけるとしようか
今日は何を着ていこうか
さあ行こうドアを開けて一歩外に出たなら
透明な空気をいっぱいに吸い込み
呼吸するということ
そんなことも思えば最近はずっと忘れていた気がする
さあ行こう駅まで
自転車じゃなくてたまには歩いて行ってみようか
急がないということ
そんなことも思えば最近はずっと忘れていた気がする
手をつなぐ親子
寄り添うカップル
各駅停車が景色達を追い抜く
心地よいまどろみ
安らかなうたた寝
ウォークマンはいつだって僕の好きな歌を歌う
読みかけの小説は少しだけ進んだ
古ぼけた腕時計も少し時を刻んだ
待ち合わせ場所まであと15分
もうすぐ君に会える
生きているということ
生きているということ
生きて生きて生きて生きて生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ
生きているということ
生きているということ
遠くで犬が吠え
地球は回り
たった今もどこかで産声が上がり
兵士はどこかで傷つくということ
生きているということ
生きているということ
生きているということ
生きているということ
たった今この瞬間が過ぎていくということ
いつかは死ぬとわかっていながら
永遠なんてないとわかっていながら
それでも人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ
生きているということ
生きているということ
生きて生きて生きて生きて生きているということ
のどがかわき
木漏れ日がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
生きているということ
生きているということ
鳥がはばたき
海がとどろき
かたつむりははうということ
あなたと手をつなぐこと