人生で大切なことは、思い出を作ること。
どこかで読んだ、誰かの本に、そんなことが書いてあった。
その通りだと思った。
人は一生を終えるその瞬間、何を思うのだろうか。
誰もが、その答えを知る時を迎えるのだけど、誰にも答えを伝えることはできない。
だけど、ふと想像してみて思うのは、
きっと、自分の人生に刻まれた美しい思い出たちを瞬間的に思い出し、その幸せに包まれるのだろう、と思う。
普段生活をしている時に、ふと、とある思い出がフラッシュバックする時がある。
心がポッと明るくなって、胸が少しだけドキドキして、少し切なくなる。あの感情。
きっと同じような、だけどもっともっと大きなあの感情に包まれるのだろうと思う。
そしてそれは、旅行に行った思い出とか、入学式とか、結婚とか、そういうわかりやすいものだけではないと思う。
幼少期に母親が運転する車に乗って習い事に向かう道中の車の中とか、
真夏日に体育の授業の後、ベタつく制服の気持ち悪さと眠気に耐えながら受けた数学の授業とか、
日がまだ登る前の早朝に、ボワッとする頭と気だるさに包まれながら家を出て向かった部活の遠征の朝とか。
そんな些細な、それでも確かな自分の人生の一ページがみんなかけがえのない思い出になって、人生を紡いでいる。
その紡がれてきた軌跡を振り返り、どんなに小さな一ページであっても、最期にはとっても愛おしさを感じるのだろう。
それが生きるということなんだ。きっと。