連載#17 重力

随想録という言葉に最もふさわしい形で、頭になんとなく浮かんでいる雑感を、それがこぼれ落ちて分からなくなってしまう前に、そのまま言葉にして書き留めて行こうと思う。

ここ数日、本をいつもにも増して集中して一気に読み込んでいる。そもそも読書は非常に好きで、年間100冊ほど読んでいるくらいではあるのだけど、最近は量というよりも濃さ、一冊一冊、一文、そして一言一句を濃密にかつ大量にインプットしている。

なぜこうなったのかといえば、喫緊でとにかく情報を得たいと思うテーマが出てきたから。気候変動、農業、経済成長、貧困、この辺りのキーワードに脳みそと人生のコンパスみたいな何かが反応している。

とてつもなく心が突き動かされているという感覚よりかは、もうなぜかそちらに自然と体と思考と人生が流れていく感覚。ゆっくりと、でも確実にその方向に重力が働いている。

だから、本自体も何か好奇心に魅せられてワクワクして読んでいるというよりかは、勝手に体と意識がそこに向いていくという感覚に近い。

こんな重力が働いているもんだから、自然と普段よりさらに濃く本に向き合うことになってしまう。

ここ数日で向き合った本たちは、実は2, 3年前くらいに購入して、部分的にか、あるいは一応一通り読んでいたものばかりなのだけど、なぜかその時と今回では得られる情報や学び、気づき、示唆が全く違う。良い悪いというものではなく、今回はより点と点が繋がって立体的に物事が入ってくる。頭の中でそれぞれの点が繋がって立体的な構造が作られていく。

きっと、今がその本に向き合うより最適なタイミングだからなのだと思う。

以前、慎泰俊さんの本を読んでいた際に、「本にも出会うべき最適な時がある」みたいなことが書かれていたのをよく覚えいるけど、それがまさに今のこの感覚なのだと思う。

とにかく今は、この重力に引っ張られて行こうと思う。

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